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​2019年10月インドネシア共和国口唇口蓋裂医療技術支援活動

 昨年度に引き続き、インドネシア共和国において口唇口蓋裂を対象とした医療技術教育支援活動を行いました。

2019年10月29日〜11月8日の11日間でインドネシアの3都市を訪問しました。今年もPadjajaran大学口腔外科のDr.Iddayuastutiをはじめとする、口腔外科、麻酔科、看護師からなるインドネシアチームと合同でミッションを行いました。最初の目的地である、バンドンのPadjajaran大学歯学部構内にあるCleft Centerでは、重度顔面裂を有する患者の手術を行いました。これらの症例は現地の口腔外科医にとっては難症例であるため、野口教授が執刀し、現地の口腔外科医が助手を務めることで、現地医師への技術移転を行いました。同大学の口腔外科医や研修医、学生が手術の様子をビデオ撮影したり、術中写真を撮影したりしながら見学していました。この手術を受けるために、長時間かけて他の島から受診した患者がいたことから、日本チームの到着を心待ちにしていたということがよく分かりました。
 2つ目の目的地はバンドンからバスで3時間のところにある、タシクマラヤという町で、我々の日本チームにとっては約10年ぶりの訪問でした。到着するまで何人の患者がいるか分からない状態で現地入りしたところ、未手術の口唇口蓋裂患者や、変形や瘢痕が強い2次症例など、0歳から30代までの様々な患者40名が我々の到着を待っていました。到着日に口腔外科医、麻酔科医による術前診察を実施し、全身状態から全身麻酔は危険と判断された症例を除く、29名の手術を行う方針としました。11月2日、3日の2日間で日本チームは13例、インドネシアチームは16例の手術を行い、いずれも大きなトラブルなく終了することができました。翌日に術後処置を行い、電車で7時間かけてジャカルタまで移動しました。その後、3つ目の目的地であるマカッサルへは国内線で移動しました。Hasanuddin大学で野口教授、藤原先生、麻酔科の釈永先生が歯科研修医、歯学部学生向けに講義し、午後からは4例の手術を実施しました。ここでは現地の研修医や若手口腔外科医も手術の助手を務めました。

全日程で日本チームは顔面裂2件、口唇形成術12件、口蓋形成術4件、鼻腔修正術1件の計19件の手術を施行しました。若手口腔外科医にとっては、多くの症例を間近で学ぶことができ、大変勉強になりました。多忙な行程ではありましたが、各都市で多くの現地スタッフと交流することができ、インドネシアの医療事情について知るだけでなく、文化や思想についても理解を深めることができ、貴重な経験となりました。遠方からの受診が困難との理由で術後のフォローアップが途絶えてしまうことや、使用器材にも制限があるなどの課題も明らかとなり、今後もインドネシアにおける医療活動に尽力したいと感じたミッションでした。

 

参加者:野口 誠(富山大学附属病院歯科口腔外科)、藤原久美子(同口腔外科)、吉田充那(同口腔外科)、辻 司(函館中央病院歯科口腔外科)、加藤千明(三重大学附属病院歯科口腔外科)、釈永清志(富山大学附属病院麻酔科)、田中温子(同麻酔科)、宮垣愛美(同看護師)、田中 葵(同看護師)

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