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​理事長挨拶

                      NPO法人・とやまCLPネットワーク

野口 誠

 

 わたし達、とやまCLPネットワークは、本年4月、富山県に特定非営利活動NPO法人として認証を受けました。CLPというのは、口唇口蓋裂(Cleft Lip and Palate)を意味します。わが国では新生児500人から700人に1人の割合で生じる、生まれながらの口の形の異常です。これによって、口のはたらきの障害(摂食障害、発音障害)や見た目の障害(審美障害)を生じ、大きく社会性が損なわれることがあります。治療を担当する者の役割は、患者さんが成長して大きくなったときに、気の合った仲間と共に、美味しい食事をしながら、楽しい会話ができるようサポートすることです。そのためには、患者さんの発達と成長に合わせて、適切な時期に適切な治療を行うことがとても大切です。外科的治療のみならず、言葉の治療、歯並びの治療、虫歯の治療、耳の治療など、患者さんには乗り越えなければならない多くの負担があります。そこで、よりよい治療のためには、患者さんを支えるご家族の方々の治療への理解が欠かせません。わたし達は、患者家族の会や会報を通して、よりよい治療のための情報発信を行うことで、少しでも患者さんの幸せに資したいと願っています。

 幸いにもわが国のような先進国では、この疾患に対する治療技術の進歩のみならず、整った健康保険制度から、皆、安心して治療を受けることができます。しかしながら、ひとたび海外に目を向けると、十分な治療を受けることができない多くの子供達がいることに心を痛めます。経済的な理由やしっかりした治療技術を持った医師が不足しているなどがその理由です。わたし達は1996年から20年以上にわたり、年に1-2回インドネシア共和国の島々に赴き、現地の医師と協力して、口唇口蓋裂の患者さんに無償手術を行ってきました。手術をした患者さんの数は1000人を超えましたが、患者さんの数からみるとほんの一握りです。しかし、それによって笑顔を取り戻せたご家族の方々は、その何倍にもなるのではないかと思っています。また、現地の医師との医療交流を通して、少なからず日本の先進的な医療技術を伝えられたのではないかと思います。今後も、このような無償手術と医療技術支援を続けることは、意義あることだと考えています。

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