先天的に口腔周囲に障害をもつ口唇口蓋裂患者は、現在の日本でもおよそ500人に1人出生しています。口唇口蓋裂治療は、出生直後からの哺乳指導や外科的手術、術後も言語治療など長期間にわたり多くの治療を必要とするため、よりよい治療のためには、病院での診察だけでなく、治療に関する情報提供や患者とその家族の心理的サポートが重要です。また、海外では、経済的な理由で治療や手術が行えず、審美的問題・言語障害を負う子どもたちがいまだ多く存在しています。

われわれ富山大学大学院　医学薬学研究部　歯科口腔外科学講座では、富山大学附属病院に通院する口唇口蓋裂患者とその家族に対して、年1回の勉強会を開催し、治療等に関する情報提供を行ってきました。さらに海外では、インドネシア共和国において、ボランティア活動及び医学教育の一環として、口唇口蓋裂治療援助活動を約20年にわたり実施しており、無料手術などの医療援助活動、現地の医師らへの講演などの教育活動を行ってきました。

このような活動に対し、当院へ通院する患者だけでなく富山県・北陸地域の口唇口蓋裂患者からの問い合わせが増加するとともに、インドネシアにおいても医療援助や教育活動を求める声や、事業への賛同の声が多く集まりつつあります。

これまでは個人の力で何とか乗り越えてきたというのが実情であり、当該事業の継続向上を図るためには、法人化することが不可欠な状況となってまいりました。そこで今回、当該事業を継続的に活動を行うことを目的にNPO法人として組織化することとなりました。